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脳死に関する思考実験

臓器移植法改正案でマスコミが「脳死は一律人の死」といっておられるので、ソレを前提に、ちょっと、思考実験。(あくまでマスコミが言っているだけなので、実際の法解釈はこれとは異なる場合があります)

ある日、Aという人間が脳溢血で倒れた。
翌日、脳死と判定され家族の同意の下臓器移植のための受け入れ先を探し始めた。
そのとき、病院に恨みを持つBが病院に乱入し、たまたま入院していたAをナイフで刺して死に至らしめた。
このとき、Aは脳死と判定されていたが心臓はまだ動いていた。
その後、Cという人間が、「Aが高血圧と言うことを知っており、血圧を上げる薬を飲ませれば脳溢血で死ぬかもれないと思い、殺すつもりで薬を飲ませた」と自首してきた。
捜査の結果、Cの供述は事実であり、、脳溢血とCが飲ませた薬との因果関係も認められた。

・現行法
Bの罪状
殺人罪←まぁ、異論はないでしょう。現行法では「人の死は心臓死。但し臓器移植の関係者の間では脳死後の臓器摘出に罪は問わない」なので、ナイフで刺した時点ではまだ「生きていた」のですから。

Cの罪状
殺人未遂罪←殺そうとして薬を飲ませ、死の危険も発生しているので殺人の着手は認められる。ところが直接の死因はCによる刺殺なので殺人の既遂にはならない、といったところでしょうか。

・改正案
Bの罪状
死体損壊罪←ナイフで刺した時点ですでに、脳死だったので「死体にナイフを刺した」と言うことになる。

Cの罪状
殺人罪←薬を飲ませ、脳死←死に至らしめているから。

注:本結論は個人の意見であり、実際の法解釈とは異なる場合があります。

「市井の常識」を裁判に反映させるため裁判員裁判を導入したわけですが、Bの罪状を「死体損壊罪」とすることに「市井の常識」があるといえるんでしょうかねぇ・・・私は時期早尚の気がするのですが・・・

また、法解釈を離れて実務のことを考えると、今回の事例で、脳死判定をしていなかった、かつ、ナイフで刺された時点で脳死だったかどうか立証できなかった場合、犯罪の立証がなされていないということでC,B共にいいとこ取りされて、Cは「殺人未遂罪」、Bは「死体損壊罪」という結論になるかも・・・。
検察官は大変ですなぁ(笑

注2:個人的に臓器移植を進めることに異論はありません。実際の立法内容が不明なのとマスコミがあまりに内容にも触れずに報道しているので突っこんでみたくなっただけです(笑

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vivian

ご訪問にnice!コメントありがとうございます♪
脳死の判断ってとても難しいですね・・・
置かれている立場で考え方が全く違うのですから
接点はないと思います。
こんな大切な事を、人の痛みも解らない政治家さんに
本当に決めて貰っても、いいのかが疑問ですね^^;
これからもよろしくお願いしますm(__)m
by vivian (2009-06-28 07:01) 

デルフィー

ホント難しい問題ですよね(- -;)
マスコミって薄っぺらな内容な事が多いですね。。。

by デルフィー (2009-06-28 09:29) 

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