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義務と演技 [法律]

常識的な見解である。日本維新の会の橋下共同代表が9日、みずからの憲法観を所属議員に語った。
維新の会の説明によれば、おおむね次のような内容だった

~長いのと有料なので省略~

asahi.com 2013年 4月 11 日(木)付
http://digital.asahi.com/login/loginselect.html?jumpUrl=http%3A%2F%2Fdigital.asahi.com%2Farticles%2FTKY201304100584.html%3F

端的に言うと
・「憲法というのは権力の乱用を防ぐもの、国家権力を縛るもの、国民の権利を権力から守るものだ。こういう国をつくりたいとか、特定の価値を宣言するとか、そういう思想書的なものではない」by橋下代表
・憲法は国民が国家を縛るもの、法律は国家が国民を縛るもの。向きが逆さになる
・現行憲法は天皇、大臣、国会議員、公務員には憲法を尊重擁護する義務があるが、国民には課されていない。
・ところが自民党の改正草案は国民にも尊重義務を負わせる
・自民党は憲法で何かと国民を縛りたがる。
・こうしたそもそも論の違いを残したまま維新と自民が改憲で手を組むというのは、質(たち)の悪い冗談

1215年のイギリス・マグナカルタで貴族(被支配者)が王様(国家権力)に対し「勝手に税金かけるんじゃねーよ(怒、ちゃんとオレらの許可取ってからにしろ!」と言ったところから始まった憲法の歴史。
その後フランス人権宣言~アメリカ独立宣言と(被支配者の)「人権」の敵は「国家権力」(支配者)という前提のもと、いかにして国家権力の暴走を抑え人権を守るか、人権がいかにして国家から自由になるか、ということを主目的にして憲法は作られてきました。
ですので、憲法とは国家権力を縛るもの。国民は守る必要がない(でも法律は守ってね(はーと)というのは一般的で伝統的な憲法の考え方です。

このような考え方に立てば「憲法」とは本来国民が国家権力を縛るために作ったものなので、憲法で国家が国民に義務を課してもそれは意味がないという結論になります。
では、実際はどうなんでしょうか。
現在の憲法にも三大義務(勤労、納税、教育の各義務)があります。
前に述べた伝統的な考えに基づけば「意味がない」(法的義務ではない)ことになるので、それぞれ単なる倫理的指針(勤労の義務)、法律による義務制定の予告(納税の義務)と理解することになります。
(教育の義務は正確には「自分の子供に教育を受けさせる義務」なので国家に対する義務ではなく自分の子供に対する義務)

今回朝日新聞が指摘した改正草案にある「国民の憲法尊重義務」
これも法的義務を課したものではなく他の意味、倫理的指針と考えるべきでしょう。
(法律による義務制定の予告と考えても、下位規範である法律により上位規範である憲法上の権利は制限し得ないので他の法律(刑法、民法など)とかわらず立法する意味がない)

では橋下さんは憲法上の国家に対する義務についてどのように考えられているのでしょうか・・・って記事に書いてありません!!
今回のような橋下さんの憲法観(一般的な憲法観)に立っても私が述べたように憲法に国家に対する国民の義務を入れ込むことは矛盾するものではないし、現状でもやっていること。
橋下さんの憲法上の義務についての考えがまったく書かれていないのに、橋下さんの述べた一般的な憲法観と自民党改正草案に国民の国家に対する義務を入れたことが「そもそも論の違い」とまったく相反するような考えのように言ってしまうのはいかがなものか、と思ってしますのですがねぇ・・・

でも、朝日新聞が改憲に反対なのはなんとなくわかりました(笑

*注
自民の憲法改正草案については、「こんなこと憲法に書かずに法律でやれよ!」
みたいなのが多い気がするので、賛成ではありません。
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旅爺さん

国民一人一人を番号制にして財産管理まで国がする気になってる話も大反対ですね。
by 旅爺さん (2013-04-12 10:47) 

まつき

朝日新聞は、何を目指しているんでしょうねぇ・・・。
by まつき (2013-04-12 13:53) 

大将

なるほどですねぇ
記事を読んで、演技と言う意味が理解できました
by 大将 (2013-04-13 21:51) 

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