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証拠にまつわるエトセトラ [法律]

あまり面白ネタも見つからなかったので、刑事ドラマや報道でもよく使われる「証拠」について一言。
なぜかというと、この言葉も誤用と言うかなんと言うか・・・みたいな状態なもので・・・
今回は刑事事件の証拠について話を進めていきます。民事事件の場合少し事情が違うので注意。

まず、「証拠」とは「ある事実があったか、なかったかを推認させる資料」ということでFA?
で、ある物(事)を証拠として使えるか?ということに関しては2つの関門があるといわれています。

1.その物(事)に証拠として使える資格があるか?
2.証拠とする資格があったとしても、その証拠は真実を示しているか?

1.について、例えば、Aの起こした殺人事件の証拠に、Aとまったく関係ないBの先月の給与明細とか・・・
給与明細の内容が真実であろうと嘘であろうと、Aの殺人事件にまったく関係ないので証拠として使う資格がないということになります。
次に「証拠」とできるものは、きっちり法律で決められているのでそこからはみ出したものは証拠としての資格がありません。
TVなどで見る例としては、「取調べ時、脅迫を用いて供述をとった」場合など。
この場合、「脅迫を用いて」が違法なので、その供述が嘘、真実に関係なく「証拠として使う資格がない」ということになります。(ギョーカイ用語で「証拠能力」という。テレビで使う「証拠能力」とは意味が違うので注意)

1.の関門を潜り抜けたとしても、これは証拠の外面について検討しただけなので、次の段階として内容(つまり2.)について検討することになります。
証拠の捏造が行われなかったとしても、例えば証言では、証人の記憶違い、勘違いなどは普通にあることなので、そこをクリアする必要がある、ということです。(ギョーカイ用語で「証明力」「証拠の信用性」という。テレビで「証拠能力」といった場合、こちらの意味で使用することがほとんど)

では、ありそうな例で見てみましょう。

・「家族、恋人の証言は証拠にならない」

最近はあまりないようですが、ちょっと前のドラマなどではよくある設定でしたね。
意味するところは、「恋人や家族は嘘をつくかもしれないので信じられない」ということでしょうか?
先に述べたとおり証拠なるかならないかは、まず、証拠の資格面。
適法な手続きで採られた証言ならば、家族であろうと恋人であろうと証拠になります。
証言が嘘か本当かは次の段階で判断すれば良いだけ。
そもそも、信じられないから証拠とならない、なら、もっとも嘘をつくかも知れない容疑者本人の証言なんてまったく証拠とすることができないですね。

・「録画は証拠になるが録音は証拠にならない。フィルム写真は証拠になるがデジカメはならない」

このあたりも、完全に死語でしょうか。だいたい、警察の鑑識がデジカメ使っているので・・・。
これも、録音やデジカメはデータの改ざんがしやすいところから出たのでしょうが、改ざんされたかどうか別途検討すればよいわけで、証拠にならないわけではありません。
確かに少し前までならば、デジタルデータは痕跡無く改ざんされたかも・・・と思わせることは今よりは簡単だったかもしれません。

長々と書きましたが、ここまでお付き合いありがとうございました。

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「35歳の高校生」第3話 [法律]

おことわり:
本稿は作品を批評するのが目的ではなく、作品内のシーンを利用して法律的な話をしてみよう!、ということを主旨としています。

最近中国おもしろネタが見つからず、SAN値がピンチ!になるようなネタしかなかったので、ちょっと古めのネタではありますが取り上げてみました。

事例;
とある高校のとあるクラス。
スクールカースト1軍の生徒が、同じくスクールカースト2軍の生徒Aに対し、その友人(同3軍)Bの髪をBが嫌がっているそぶりを見せているものの、AがBの髪を切るように促す。
これによりAはBの前髪10cm程度を切断。これを見た主人公(米倉涼子)が「傷害罪」として警察に連絡しようとする。

「スクールカースト」:クラス内ヒエラルキー(順位序列)の1つで、「1軍」「2軍」「3軍」も分かれている。
この順位は「1軍」により決められ、下位順位の者は上位の者に逆らえず、下位の者ほど充実した高校生活は送れない、ものとされている。

事例ここまで

さて、ここでAの「髪を切る」という行為を「傷害罪」としていますが、ギョーカイの多数意見は「暴行罪」
「傷害」とはなにか?ということについて、大きく分けて次の二つの考えがあります。
1.「体の外見を含めた完全性を害すること」
2.「体の機能や健康状態を害すること」

1.の考えをとれば、「髪を切る」のは体の外見を変更し、完全性を害した、ということで「傷害罪」になりますが、2.の考えをとった場合、体の機能や健康状態に変化はないので、傷害罪には当たらない、せいぜい「暴行罪」ということになります。
昔、裁判で今回のような「髪を切る」という事件で「暴行罪」と判断しているので裁判所は2.の説を採っていると推察される、のでギョーカイの多数意見も、2.ということになっています。

ただ、2.の考えを採ったとしても、「髪をバリカンなどで丸坊主にする」というような場合は、髪の持っている頭を保護する機能を害した、と考えることも可能なのでこの場合は「傷害罪」と考えることも可能。
法律論を離れれば「程度の問題」ということで考えてもよいかと。

Aの罪名が決まったところで、Aに犯罪を「させた」1軍の罪状も気になるところですが(無罪?共犯?主犯じゃね?)長くなるのでここまで。

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義務と演技 [法律]

常識的な見解である。日本維新の会の橋下共同代表が9日、みずからの憲法観を所属議員に語った。
維新の会の説明によれば、おおむね次のような内容だった

~長いのと有料なので省略~

asahi.com 2013年 4月 11 日(木)付
http://digital.asahi.com/login/loginselect.html?jumpUrl=http%3A%2F%2Fdigital.asahi.com%2Farticles%2FTKY201304100584.html%3F

端的に言うと
・「憲法というのは権力の乱用を防ぐもの、国家権力を縛るもの、国民の権利を権力から守るものだ。こういう国をつくりたいとか、特定の価値を宣言するとか、そういう思想書的なものではない」by橋下代表
・憲法は国民が国家を縛るもの、法律は国家が国民を縛るもの。向きが逆さになる
・現行憲法は天皇、大臣、国会議員、公務員には憲法を尊重擁護する義務があるが、国民には課されていない。
・ところが自民党の改正草案は国民にも尊重義務を負わせる
・自民党は憲法で何かと国民を縛りたがる。
・こうしたそもそも論の違いを残したまま維新と自民が改憲で手を組むというのは、質(たち)の悪い冗談

1215年のイギリス・マグナカルタで貴族(被支配者)が王様(国家権力)に対し「勝手に税金かけるんじゃねーよ(怒、ちゃんとオレらの許可取ってからにしろ!」と言ったところから始まった憲法の歴史。
その後フランス人権宣言~アメリカ独立宣言と(被支配者の)「人権」の敵は「国家権力」(支配者)という前提のもと、いかにして国家権力の暴走を抑え人権を守るか、人権がいかにして国家から自由になるか、ということを主目的にして憲法は作られてきました。
ですので、憲法とは国家権力を縛るもの。国民は守る必要がない(でも法律は守ってね(はーと)というのは一般的で伝統的な憲法の考え方です。

このような考え方に立てば「憲法」とは本来国民が国家権力を縛るために作ったものなので、憲法で国家が国民に義務を課してもそれは意味がないという結論になります。
では、実際はどうなんでしょうか。
現在の憲法にも三大義務(勤労、納税、教育の各義務)があります。
前に述べた伝統的な考えに基づけば「意味がない」(法的義務ではない)ことになるので、それぞれ単なる倫理的指針(勤労の義務)、法律による義務制定の予告(納税の義務)と理解することになります。
(教育の義務は正確には「自分の子供に教育を受けさせる義務」なので国家に対する義務ではなく自分の子供に対する義務)

今回朝日新聞が指摘した改正草案にある「国民の憲法尊重義務」
これも法的義務を課したものではなく他の意味、倫理的指針と考えるべきでしょう。
(法律による義務制定の予告と考えても、下位規範である法律により上位規範である憲法上の権利は制限し得ないので他の法律(刑法、民法など)とかわらず立法する意味がない)

では橋下さんは憲法上の国家に対する義務についてどのように考えられているのでしょうか・・・って記事に書いてありません!!
今回のような橋下さんの憲法観(一般的な憲法観)に立っても私が述べたように憲法に国家に対する国民の義務を入れ込むことは矛盾するものではないし、現状でもやっていること。
橋下さんの憲法上の義務についての考えがまったく書かれていないのに、橋下さんの述べた一般的な憲法観と自民党改正草案に国民の国家に対する義務を入れたことが「そもそも論の違い」とまったく相反するような考えのように言ってしまうのはいかがなものか、と思ってしますのですがねぇ・・・

でも、朝日新聞が改憲に反対なのはなんとなくわかりました(笑

*注
自民の憲法改正草案については、「こんなこと憲法に書かずに法律でやれよ!」
みたいなのが多い気がするので、賛成ではありません。
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「名探偵コナン」第691話工藤優作の未解決事件(コールド・ケース) [法律]

アニメにツッコミを入れるつもりはありません。
最近、法学ネタが少なかったので、これを題材にちょっと書いてみようかな~と思ったり。
本当はネットで話題の「いわゆる従軍慰安婦」に関する国会審議におけるNHK動画削除問題にしようとも思ったのですが、無駄に長くなってつまらなそうなのでボツ。

では、本題。
事件の概要(関連部分のみ)
A氏が自動販売機で酒を買おうとしたところ肝硬変による動脈瘤破裂で血を吐いて死亡
   ↓
吐いた血が固まるほど時間がたった後に、甲、乙、丙の3者が死体を発見。と同時にA氏の財布を見つけ財布を奪って逃走

番組では、この甲、乙、丙の罪状を「窃盗罪」としていましたが、ギョーカイの多数意見は「占有離脱物横領罪」(落し物をネコババした罪と同じ)。

「窃盗罪」とは、「他人の財物を窃取」すること(刑法235条)。ここでいう「他人の財物」とは「他人が所有権をもっているもの」という意味ではなく「他人が現在『持っている』という状態のもの」(ギョーカイ用語で「占有」という)と考えられています。
つまり、自分に所有権のないものでも、他の人から借りて実際私が保持しているものを別の人に取られれば窃盗罪成立。
逆に他の人に貸していた自分のものを、その貸した相手に無断で持って帰ってきても窃盗罪成立ということ。

今回の事件で問題となるのは、持ち主のA氏が死んでしまっているので刑法に言う「他人」つまりは「人」とはいえなくね?ってこと。
A氏が死んでしまって「人」といえないんだから、その財布は人が現在持っているとはいえない。
    ↓
窃盗罪とはいえない。
せいぜい、成立するなら占有離脱物横領罪、って話。

ここで、注意しなければならないのは、もし、最初から財布を奪う目的でA氏を襲ったのなら死後に財布を奪っても強盗、、もしくは強盗致死傷が成立。
最初財布を取る気はなく、別の理由等で喧嘩→相手を死亡させる→財布の存在に気がつく→財布を持っていくなら窃盗罪(持ち主を自分で殺しておいて、持ち主がいないから窃盗罪じゃないは、ねーだろーってな感じ)

今回の件では、犯人の甲、乙、丙がA氏の死亡に関わったという記述がないので占有離脱物横領罪ってことです。

あとは、番組最後で、ランネー・チャンとセイラ・マスミさんが犯人をボコボコにするんですが、これって傷害罪?、過剰防衛?、正当防衛?って話もあるんですが、これこそヤボの極みなのでカット(笑

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スマホ訴訟でサムスン勝訴 [法律]

 スマートフォン(多機能携帯電話)とタブレット型多機能端末をめぐり、サムスン電子(韓国)が日本で展開する「ギャラクシー」シリーズが特許を侵害しているとして、米アップルがサムスン側に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁( 東海林保裁判長)は31日、特許権侵害を認めず、請求を棄却した。製品の販売差し止めを求めた仮処分も退けた。

http://www.47news.jp/47topics/e/234109.php

ネット上を漁ってみたのですが、マトモにまとまっている資料がなかったので、以下はいろいろなサイトに出ていた情報を個人的にまとめたものです。(間違ってても、謝罪も賠償もしません!)

本案は、
・アップルがサムスンに対して起こした特許権侵害による損害賠償請求訴訟
・アップルが主張している特許権侵害は「同期」に関するものと、「バウンスバック」と呼ばれる視覚効果に関するもの
・今回はそのうち「同期」に関するものについての「中間判決」
といったところ?

なにか、今回の判決で、世の中の雰囲気が「サムスン無罪!!」みたいな感じになっているようですが・・・。
だが、ちょっとまってほしい(笑

そもそも、「中間判決」なんていう手法はあまり多用されるものではありません。
中間に判決なんか出さずに、最後の終局判決一本で済ませれば、判決文書く手間も一回で済み楽ですものね(笑
ということは、裁判所として、「同期」に関してはさっさと終わらせて、「バウンスバック」について、じっくりと検討する必要があるという意志の表れと見ることもできます。
さらに、穿った見方をすると、もし裁判所が「バウンスバック」についても「権利侵害なし」との心証を抱いていたとすれば、終局判決で「主文 原告(アップル)の請求を棄却する」とすれば良いだけなのに、それをしなかったということは・・・(笑、(実際は判決理由の中で細かいところもきちんと書かなければなりませんが)

いずれにしても、今後の立証如何でしょうが、まだまだ波乱が・・・あってほしいなぁ(笑
と、いう私はガラケーユーザー(笑
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異例の懲役60年求刑 女性9人に強姦致傷罪の男 [法律]

 女性9人に乱暴したなどとして、9件の強姦致傷罪などに問われた静岡県長泉町、無職小沢貴司被告(35)の裁判員裁判の論告求刑公判が30日、静岡地裁沼津支部(片山隆夫裁判長)であり、検察側は2001~08年の5件と、09~10年の4件について、いずれも有期刑最長の懲役30年とし、合わせて60年を求刑した。

 小沢被告は09年に窃盗事件で有罪判決を受け確定。刑法の規定では、確定判決を受けた被告が判決の前後でそれぞれ罪に問われた場合、量刑が分けられる。

 検察側は「被告のゆがんだ性癖は根深いもので、長期の矯正教育が必要」と異例の求刑を説明した。判決は12月5日。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/275702

今回のブログタイトル、ニュースサイトの見出しをそのまま利用したのですが、これだと、明らかにミスリード(笑
これだと、懲役60年という判決が出そうですが、有期懲役の上限は30年と決まっている(刑法14条)ので、懲役60年なんて判決は絶対に出ません。

ではなぜこんな求刑になったのでしょうか。
長文になりますが、お暇な方は、少し噛み砕いて解説しているのでお付き合いのほどを(笑。

ニュース元にあるように刑法の規定で「確定判決を受けた被告が判決の前後でそれぞれ罪に問われた場合、量刑が分けられる」ためなのですが、この確定判決受けた日というのをクレジットカードの支払額確定日、量刑をクレジットカードの支払額と例えると良いかもしれません。

クレジットカードの支払額確定日というのは、その日までに使ったクレジットカードの支払額をこの日で一旦集計して支払額を確定する日ですね。
その日以降に使ったクレジットの支払いはまた別に集計して支払い、そんな日です。

刑事訴訟の場合、確定判決というのは確定判決の日までに、その被告人がそれまでに起こしたすべての犯罪を合算して刑罰を宣告する日です。
ここで刑j法ならではの決まりがありまして、先に述べたように確定判決というのは被告人がそれまでに起こしたすべての犯罪を合算して刑罰を宣告する日なのですが、何らかの理由でいくつかの犯罪が合算から漏れた場合、その漏れた犯罪については検察は刑罰を課す意思がないものとみなされ、その漏れた犯罪についてあとから別途刑罰を求めるということができなくなります。

さらにここで例外(笑
漏れた犯罪について、確定判決の日において犯罪そのものが明らかでない場合や犯人が明らかととなっていない場合は後日において刑罰を求めることができます。
今回の事例は、この例外にあたる事例ですね。

さて、確定判決の日とはクレジットカードの支払額確定日、と言いましたが、このことは後日において刑罰を求める場合にも当てはまります。
つまり今回のように、以前の確定判決の期日の以前と以後に分けて、それぞれについて犯罪を評価して求刑する、ということになるのです。

以上説明終わり(笑

以下個人的感想
こんなヤツ死刑でも良いと思うんですが、死刑判決が出ても民主政権下では飼い殺しにされるだけで無理(笑
法律上は「強姦致傷」の最高刑は無期懲役なので、それぐらいはやってもらわないと
別に求刑以上の判決を出してはいけないなんて決まりはありませんからね。

12/7追記
期日以前の罪について懲役24年、以後の罪について懲役26年、合計50年分の懲役が判決で宣告されました。
でも、有期懲役の最高は30年と決まっているので、実際の執行はどうなるか興味があるところです。
(途中で、一旦釈放とか(笑)

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面白くない「白い恋人」 [法律]

北海道土産の定番の人気菓子「白い恋人」を製造販売する石屋製菓(札幌市)が28日、 類似商品で商標権を侵害されたとして、菓子「面白い恋人」を製造販売する吉本興業 (大阪市)と、よしもとクリエイティブ・エージェンシー(同)などに、販売差し止めや 商品の破棄を求めて札幌地裁に提訴した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111128/trl11112819000003-n1.htm


よしもと的には、シャレのつもりなのかもれませんが・・・
以下、少し検討してみましょう。

商標の類似性については、「商標の類否の判断は,商標の有する外観,称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。」,「商標の類否の判断は,商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば,専門家,老人,子供,婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実情を考慮し,需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。」(特許庁商標審査基準より)とされています。

今回の例に当てはめて、噛み砕いて言うと、名前や外観が消費者を基準として2つのものを混同する恐れがあるかどうか、ということ。
今回の場合、商品名のみならず、包装も似てますし、まぁ、普通にアウト!でしょうね。

紳介問題で法令順守の姿勢を見せた、よしもとにしては今回は脇が甘かったですね。
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「知っておかなければいけない法律を認識していなかった。指摘してもらったことを感謝」 [法律]

男子プロゴルフの石川遼選手(19)が日本国内では無効の国際運転免許証で自動車を運転していた問題で、石川選手は10日、成田空港で記者会見し、「自らの不注意で、スポンサーやゴルフファンにご迷惑をおかけした。心より申し訳なく思っています」と謝罪した。

石川選手は、海外で取得した国際免許証が、3か月未満の滞在では国内では有効にならないという改正道交法について、「知っておかなければいけない法律を認識していなかった」と自らの責任を認め、「気付かないまま運転して事故を起こしていたら、もっと迷惑をかけていた。そうなる前に指摘してもらったことを感謝しないといけない」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/golf/news/20110610-OYT1T00354.htm?from=main7

この問題、実は、法律を破るとなぜ処罰されるのか?というところまで行き着くことのできる、壮大な問題だったりします。
つまり、
      法律を知らない
          ↓
    法律を知らないのだから、その「行為が法律に反している」かどうかわからない
    (これを「違法性の意識」といいます)
          ↓
1.「違法性の意識」がなくても、処罰できるとすると、その根拠は行為により社会を危険に陥れた点に求めることができる。

2.「違法性の意識」がなければ、処罰できないとすると、その根拠は禁止されているのにあえてその行為を行ったという規範違反に求めることができる。

この、1.や2.の意見は両極端な考え方で、現実の多数説は、両説の中間の考え方になります。
つまり
        「違法性の意識」の可能性があれば処罰できる

では、遼君は「違法性の意識」の可能性があったのだろうか(笑

法律は成立すると、官報という本に載せられ、本屋さんに並びます。
法律上、こうなると、「官報を読むことができたはず」ということで、国民全部が、法律を知っている可能性があったとみなされてしまいます。
このため、「遼君、アウト!」となります。

今回は法律論を振り回してみましたが、常識論でも、普通は「知らなかった」では済まされないのですから、法律の話も、結論は常識的な結論に落ち着くということでよろしいかと。

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観光客装った中国人妊婦の出産急増、目的は子供の国籍 [法律]

2011年4月1日、観光客として米国に入国した中国人妊婦が現地で出産するケースが増えている。人民日報サイト・人民網が伝えた。

今年3月9日、ロサンゼルス当局は華人経営者が運営していた妊婦センターを閉鎖した。そこに滞在していた妊婦約10人全員が中国人で、米国で出産するためにセンターに数万ドルを支払っていた。センターに頻繁に出入りする若い女性たちを不審に思った近隣住民が当局に通報し、事件が発覚。当局はセンターを閉鎖し、経営者に800ドルの罰金を科した。中国人妊婦のビザはすべて有効期限内だったため、本国へ送還されずに近くのモーテルに身柄を移されただけだった。

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50373&type=

このニュースを理解するには、ちょっと、法的知識が必要なので解説.
生まれた子供がどんな国籍を取得するに関しては、大きく分けて血統主義と出生地主義に分かれます。

血統主義---両親の持つ国籍が血のつながりのごとく子供に受け継がれる方式。
例えば、親が日本国籍なら、子供も無条件に日本国籍を取得する。中国も基本、血統主義

出生地主義---両親の国籍に関係なく、生まれた国の国籍を取得する方式。
移民で成り立っている国に採用例が多く、アメリカの場合も、両親の国籍に関係なく、アメリカ国内で生まれた子供にはアメリカ国籍が認められる。

ま、子供にアメリカンドリームを託した、ってことなんでしょうかね。
日本にも、「アメリカ国籍をプレゼント」とかのたまって、アメリカで子供を生んだタレントがおりましたが・・・
個人的には、自分(親)の生まれた国がそんなに嫌いかねぇ・・・と、思ってしまいます。

ちなみにですが、アメリカは依然として徴兵制が残る国です。(ただし、実際には募集で必要兵力を確保できている等の理由で、徴兵制度は停止されていますが、廃止されたわけではありません。)
そんなに、アメリカ国籍がうれしいですかねぇ・・・
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押尾学事件についての考察 [法律]

事件の顛末

有名なので省略(笑

罪名:保護責任者遺棄致死

この事件、まず問題となるのは被告人が、「保護者」(保護責任者)であったかどうか、つまり、被害者を助けようとする作為義務があったかという点。
例えば、道端に死にかけた人がいたとして、通りがかりの人がそ知らぬ顔で通り過ぎたとしても保護責任者遺棄在に問われることはない。
なぜなら、その人を助けなければならない法的義務はなく「保護者」に当たらないからである。
では、おせっかいにも死にかけていた人に「だいじょうぶですか?」などと声をかけてしまった場合はどうだろう?
こうなると「保護者」にあたる可能性が出てくる。
声をかけたことによりその倒れていた人の「因果の経過を排他的に支配した」と言えるような状態になってしまうとここでいう「保護者」に当たると考えられてしまう。
もっとも、道端に倒れていた人に、通りがかりの人が「因果の経過を排他的に支配した」なんて考えにくいですが(笑
でも、例を挙げるなら「倒れていた人を病院に運ぼうと思って車に乗せた」みたいな場合には「排他的に支配した」といえるので「保護者」に該当するものと考えられる。

振り返って、押尾事件の場合どう考えるべきだろうか?
二人が他人ということを重視すれば「保護者」ではないと言う結論に達しやすい。
一方、その場に二人しかいなかったとか、他人といえどそれなりに親密な仲だったとか、死亡の原因が被告人の与えた薬であったなどの事柄を重視すれば「保護者」に当たるとの結論に達しやすい。

次に因果関係の問題。
つまり、「保護責任」を行使しなかったことで被害者が死亡したといえるかという点。
これについては有名な判例がありまして保護者が救命のための行為を行うことで「十中八九」救命の可能性があれば因果関係を認めるという。
だから、被告人が被害者の急変に気がついて、それから救急車を呼んでいれば「十中八九」助かったといえるなら因果関係を認めることができる。
この点は、検察側の立証内容次第ですね。

個人的には有罪まで茨の道のような気がするのですが・・・
今回は裁判員裁判なのですが、裁判官は裁判員に対し、今回書いた(これでもかなり砕けた内容で書いたつもり)「保護者としての意義」とか「作為義務」とか説明するんでしょうかね。
個人的にはそっちのほうが気になります。
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